紀伊國屋書店ピクウィック・クラブのブログで「ワールド文学カップ」が紹介されている。
要するに世界文学のブックフェアで、紀伊国屋書店新宿店で4月開催予定だそうだ。ブックレットもあるけどPDFなのでラインナップはよく見ていない。
それはともかく普通に見れるブログの方で、会員がそれぞれベストイレブンを選んでいる。
個性がでていて面白い。以下無断引用。
■ピクウィック・クラブ榎本のベストイレブン
FW:泉鏡花『草迷宮』
FW:ミルチャ・エリアーデ『ムントゥリャサ通りで』
MF:津原泰水『バレエ・メカニック』
MF:チェーザレ・パヴェーゼ『美しい夏』
MF:クレア・キーガン『青い野を歩く』
MF:磯崎憲一郎『世紀の発見』
DF:アントニオ・タブッキ『イタリア広場』
DF:ウィリアム・フォークナー『アブサロム、アブサロム!』
DF:ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』
DF:中上健次『枯木灘』
GK:レフ・トルストイ『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』
控えFW:谷崎潤一郎『少将滋幹の母』
控えGK:コーマック・マッカーシー『ブラッド・メリディアン』
■ピクウィック・クラブ木村のベストイレブン
FW:サーテグ・ヘダーヤト『生埋め』
FW:中井英夫『とらんぷ譚』
FW:ダフネ・デュ・モーリア『鳥』
MF:フラナリー・オコナー『賢い血』
MF:レイナルド・アレナス『めくるめく世界』
MF:澁澤龍彦『高丘親王航海記』
MF:桐野夏生『グロテスク』
DF:イアン・マキューアン『贖罪』
DF:谷崎潤一郎『鍵』
DF:ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』
GK:サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』
控えMF:ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』
控えGK:ロラン・トポール『幻の下宿人』
■ピクウィック・クラブ蜷川のベストイレブン
FW:ジョルジュ・バタイユ『空の青み』
MF:イタロ・カルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』
MF:G・K・チェスタトン『木曜日だった男』
MF:エーリヒ・ケストナー『飛ぶ教室』
MF:ルイ=フェルディナン・セリーヌ『夜の果てへの旅』
MF:アントン・チェーホフ『かわいい女・犬を連れた奥さん』
DF:ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』
DF:ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
DF:ルイス・キャロル『スナーク狩り』
DF:ウラジーミル・ナボコフ『ディフェンス』
GK:レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』
控えFW:レーモン・クノー『イカロスの飛行』
控えDF:サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』
(レーモン・ルーセルは好きだけど、キーパーはどうだろう。明後日の方の向いていてボールに反応してくれそうにない気がするのだが。バタイユのワントップはイブラヒモビッチかドログバみたいだし、セリーヌの中盤も非常に楽しみなんだけど。トルストイやラシュディなんかいかにもGKっぽい)
■山田さんが選ぶベストイレブン
FW:エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』
FW:トマス・ピンチョン『スロー・ラーナー』
MF:レーモン・クノー『文体練習』
MF:村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』
MF:青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン』
MF:ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』
DF:ウィリアム・フォークナー『サンクチュアリ』
DF:村上春樹『風の歌を聴け』
DF:安部公房『人間そっくり』
DF:大江健三郎『万延元年のフットボール』
GK:ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』
控えFW:大江健三郎「セブンティーン」『性的人間』
控えGK:ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』
(サッカーっぽくないような。てか、なんとなくワールドベースボールクラシックという印象)
割と面白いでしょ? 普通にベストテンを選ぶと息苦しいと言うか、価値の優劣をつけているみたいで面倒だけどこれならチーム構成とか、プレーの特色を勘案して、ワールドカップで目指すプレーをイメージできる。
で、ワタクシもやってみました。まずは日本代表。
FW:種村李弘『ナンセンス詩人の肖像』
FW:加藤郁乎『牧歌メロン』
FW:稲垣足穂『ライト兄弟に始まる』
MF:筒井康隆『俗物図鑑』
MF:平賀源内『風流志道軒伝』
MF:澁澤龍彦『思考の紋章学』
DF:野坂昭如『骨餓身峠死人葛』
DF:鷲巣繁男『詩歌逍遥游』
DF:岡本太郎『今日の芸術』
DF:三島由紀夫『午後の曳航』
GK:花田清輝『日本のルネサンス人』
控えDF:高橋睦郎『眠りと犯しと落下と』
控えMF:吉田健一『怪奇な話』
小説家が少ないな。三島由紀夫は仕事量の豊富さと視野の広さをかって右サイドバックに。左に回したら怒られそうだ。泉鏡花はFWタイプじゃないし、あまりサッカーのイメージじゃない。内田百閧ヘ試合を途中で抜け出してネコを探しに行きそうだし、谷崎潤一郎はサッカー以前にスポーツに向いてない気がする。種村李弘は割りにどこでもこなせそう。中盤で使うなら作品は『ザッヘル=マゾッホの世界』か。
続いて不狼児の
ベストナイン←ベストイレブン
FW:J.P.マンシェット『殺戮の天使』
FW:A.ランボー『イルミナシオン』
FW:D.グーディス『狼は天使の匂い』
MF:J.バタイユ『眼球譚』
MF:A.ブルトン『黒いユーモア選集』
MF:クライスト『ペンテジレーア』
DF:J.ジュネ『花のノートルダム』
DF:W.シェイクスピア『リチャード3世』
DF:J.スウィフト『ガリヴァー旅行記』
DF:B.サンドラール『世界の果てまで連れてって』
GK:バルザック『従兄弟ポンス』
控えDF:G.アポリネール『虐殺された詩人』
控えDF:J.ヴォートラン『パパはビリーズ・キックを捕まえられない』
ヨ−ロッパに偏った。プレースタイルの適合性からいってまあしょうがないだろう。選び方に性格が出る。きわめて攻撃的なメンバー。スリートップは強力だし、スウィフトとシェイクスピアのセンターバックは鉄壁だ。ジュネはああ見えてしっかり仕事をこなしそうだしフィジカルも強そう。アポリネールはルーセルと同じで好きだけど、どうかな、という感じ。あたりに弱いし、太りすぎてあまり動けないんじゃないかな。反対にヴォートランは間違いなく使える。いざと言うとき困りそうだが、控えは思い切って趣味的にM.G.ルイス『マンク』とC.マチューリン『放浪者メルモス』の両サイドバックという考えも魅力的で捨てがたい。