奥さんが窓を開けます。その腕は白いです。解き放たれた白い蛾が明りに誘われてまた部屋の中へ戻ろうとすると、ピシャリ! 奥さんは窓を閉めてしまいます。白い蛾はもう生まれた場所に帰れません。あの白い腕が故郷です。もう一度あの白に溶けてしまえるものなら、 僕は白く大きな羽で空気を押して舞い上がる一匹の蛾になってしまっても構わないとさえ思うのです。強烈な臭いがします。 アンモニアの混じったきつく甘い香りです。あの窓は浴室でしょうか? 意識が白く溶けてしまいそうな奥さんの体臭は、 あの窓のあたりから漂ってくるのです。ああ! でも僕は蛾には成れません。意識の昼に閉じ込められて、夜は遠く、この地上からは一ミリも、 舞い上がることだってできはしない。
【感想】
第64回タイトル競作「這い回る蝶々」投稿作。
○一つ。マンジュさんからもらえたので、これはこれで勝利でしょう。
読んで判断するのがつらいので、選評をサボってしまったのは問題外。
最近、落ちつきがないので読み込めないし、趣味の問題を越えて良いとか、悪いとか、面白いとか、つまらないとか言えないので困る。
まったく異質なもの、小説でも、物語でも、それらの飾りでもないような、今までに読んだことがない驚くようなものが読みたいし、
全然別なものが書きたい。
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作者発表で不狼児さん作と知り、私も「やった〜ッ」 (←?) と思いました。