2012年03月04日

ひかり町ガイドブック 「無量光寺の人面犬」

【パワースポット】

      「無量光寺の人面犬」
  無量光寺は寺と言っても寺院ではない。住職も宮司もいない。
  十坪ばかりの小さなお堂で来世の守り札を売っている。本尊もしめ縄も賽銭箱もない。手数料を払うと来世の自分が指紋を押した証文をくれる。指紋は当然今の自分とは違うので、本物かどうかはわからない。
  一家族がそこに住んで取り仕切っているが、駐在さんと同じで祭事を委託されているだけだ。詳しいことは何も知らない。
  お堂の前につながれているのが人面犬だ。口はきけるがあまり話さない。飼われているのは確かだがそもそも人面犬が無量光寺と家族のどちらに属するのかは話に聞いたこともない。

*参照「南斜面の牛畑」 (不狼児)
         「仔牛の季節」 (オギ)

【ものがたり】

      「しびれくらげ」
  無量光寺の池にはしびれくらげが棲んでいる。
  ある日、一匹の人面犬が水を飲みに池に近寄った。しびれくらげは来世の人間の意識のかけらだ。ふと前世を顧みた時に、落としてゆく。空を時々大きな顔がよぎるのがその証だ。振り返り、また向き直り薄れてゆく、顔からちぎれて雲のように漂う意識のかけらが水に落ちて、しびれくらげになる。
  人間にとって未来は毒だが来世はもっと有害だ。もし他の場所で殖えたら、と思うと、気が気でないのは僕だけではあるまい。
  しびれくらげが人と間違えて人面犬を襲う。すると人面犬は平気でくらげを呑んでしまう。 
  犬の糞になったしびれくらげは人間にとっても無害だ。

              (不狼児)

*参照「空飛ぶ円盤」 (不狼児)



posted by 不狼児 at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ひかり町ガイドブック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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