人間は食べ物によって規定される。
ひかり町で食べられる物はひかり町の根幹を形造る。
明治以降の日本の歴史は食事の肉化の影響抜きには考えられない。また昭和半ば始まったインスタント食品の時代が、その後の社会生活をどのように変えたかは皆さんがご承知のとおりだ。
人間は自らが発明した食べ物によって人間になる。社会変革はそこから始まる。戦争もまた。
何を食べているかが重要なのだ。豚肉を食べないイスラム教徒と豚肉を食べるキリスト教徒の争いは言わずもがな。両者の間に融和はない。血を抜いた肉を食べ乳と混ぜないユダヤ教徒が割って入っても争いは激化するだけだ。クジラもイルカも食べないアメリカ人はどちらも食べる日本人を決して許さないだろう。
人は生活を変えようとする時、食べる物を変える。種種雑多、ありきたりなものから奇怪なものまで。ひかり町の美食の歴史は人間の変革可能性を示す格好の見本である。