【隠れ家的スポット】
「ふうせん横丁」
【ものがたり】
「ふわり、ふわり」
(加楽幽明)
*小冊子『ひかり町ガイドブック』に掲載
【ものがたり】
「地図にない町」
風船横丁の上には電線横丁が重なりその上に空転横丁が寝そべっている。左にフーテン横丁。右にはゲーセン横丁。先へ進むと空戦小路。三階から飛び降りて点線横丁へ。反戦矛盾商店街の突き当たり、当然広場では、ナイフ陽一とピストル陰左衛門がひとりの女の浮遊権を賭けて決闘した。
慣れぬ荒野の白袴。武器はまた昇る。
ふわり、ふわり。小さな明かりが宙を舞う。
ホタルのオペラ。このあたりでは絶滅したはずの――
「母さん、この酒は強いね」
光で歌う無音のドラマ。
「母さん、あの帽子どこへいったんでしょうね」
護岸で強姦、複数の高次ニンフに埋め立てられて暗渠テ・デウム異父兄弟。初めて合わせた血まみれの顔と顔との思い出を、今また再び血で洗う。
(不狼児)
*参照「ホタルの木跡」 (タカスギシンタロ)
「ホタルの楽園」 (オギ)