2006年12月28日

怪奇な話 吉田健一

 今年読んだ本の中では一番の収穫。
 奇譚を奇譚として語らないこの方法は非常に面白い。

 テキストエディタが落ちた……長々と書いた感想が全部消えた。さすがにもう一度書く気はしないので、今年はこれでおしまい。

 吉田健一は初めて読んだ。これまでこの人の本を一度も読んだことがなかった自分にも恐れ入った。吉田健一と言えば酒と食べ物の話。いくらその手の話題が嫌いだからって。でも、まー損をしたのか得をしたのかはよくわからない。

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2006年12月15日

『ある婦人の肖像』メモ(続)

 サド侯爵の小説よりも救いのない、最も邪悪なポルノグラフィー。
 力の強いものが、正しくても弱いものを貪りつくし、蹂躙する。もっとも梶原一騎原作のマンガとはちがって肉体的な暴力ではなく、経済力だが。

 原理的にはデュシャンの「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」と同じ構造をしている。独身者の欲望と花嫁は平行運動して、決して触れあうことはない。もっともその裏で「誘惑者」によって既に花嫁は裸にされ、「処女の花は踏みにじられて」いるのだが、明示されない。「そのこと」はありふれたポルノグラフィーとちがってわずかに罅と埃の堆積の隙間から覗けるだけだ。そ知らぬ顔で、悪循環は続く。

 女主人公が最後になぜローマ(悪の巣窟)に帰ってゆくのか。当然そうでなければならない。花は踏みにじられても相変わらず美しいままだ(そもそも破壊できるようなものだったら、破壊しようとは思わないだろう)。ジュスティーヌが苦難を避けるなんて考えられない。

 ヘンリー・ジェイムズとか、ラドヤード・キップリングのような、人間憎悪の文学の書き手たちにとっては、怪談は最も端的な人間憎悪の形式でしかないように思える。


 

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2006年12月11日

週間てのひら怪談

 ビーケーワン怪談大賞参加者による新作怪談が読めます。

   週間てのひら怪談 毎週火曜日更新

 12/12(火)には拙作が掲載される予定。

 プロフィールは「面白くて個性のあるもの」を求められて、送った3つのうちの1つですが、内容は『未成年の主張』なので、恥ずかしいのは仕様です。
 なるべく読まないようにするのが吉。

 

 

 

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2006年12月09日

冷気

 僕と彼女と彼と彼。毛剃中学の同級生。眉毛も髪も腋も脛毛も。男女を問わずマルガリータ。急行列車が止まらない最寄り駅を見下ろす小高い丘。急勾配の坂の途中。橋の上。坊主頭を風にさらして。漣の立った川面。彼が投げた石がどこまでも水を切って跳ねてゆく。垂れてきた洟をすすって、彼女は言った。「楽しかったね」もう帰らない日々。「この冷たい手を覚えておいて」愛しい君よさようなら。バリカン戦争の余波で(鋏と剃刀しか使えなくなっていたので)学期中断のお別れパーティー。僕らは全財産をはたいて注文した大量の肉料理を食い散らかした。フォークとナイフは肉を掻き回すための道具ではない。「ねえ。知ってる?」もちろん知ってる。彼は孵化しない卵の弔辞で即席の足跡をでっちあげ、我々自身の若すぎる死を惜しんだ。彼女は尋ねる。「まだ剃るの?」たかが、授業が出来ないだけだ。(鋏と剃刀しか使えなくなっていたので)髪剃りは痛い。でも、それが毛剃魂じゃないか。
「不器用なんだから」
 一本の絆を鋏でチョンと切る。手品じゃないので元には戻らない。
 耳がちぎれそうだ。欄干も手も顔も(コンクリート橋桁の鉄骨遠くで駅を通過する列車も窓も)同じほど冷たく、僕らはみんな凍えていた。

 

 

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2006年12月04日

殺人主義の歴史

 間違ってはいけない。超短編は短いのではなく、薄いのだ。時間の砂が流れる透き間を遡れるほど極薄。
 長編小説が擬似的な三次元を構築して人生の意味を追求している間に、超短編には何ができるだろう?

 古来「何でそんなことをしたのか?」と言う問いに納得できる答えはない。

 何でそんな建築物を建てたのか。何で殺したのか。
 善良なヨブに無数の災いをもたらした神も答えたことはない。

 理由のない行為を抑止することは不可能だ。

 長編小説とは既に起こってしまった、取り返しのつかない事に関する物語だろう。殺人は起こってしまったのであり、ミステリーの主人公が謎を解き、犯人を捕まえてもそれは変わらない。時間の不可逆性が起こす悲劇の周りをぐるぐる回っている。
 断片ではなくて薄片。断片は歴史だ。歴史は失われた時を捏造する。

「生きているだけで十分幸運なのにこれ以上の運を望んで、それでどうしよう?」


 

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というわけで

 罵って、気分がすっきりしたかって? 全然。

 あまり長い文章を書くと書き終わらないうちに自分の考えを自分で論破してしまうので、結論までたどり着けない。
 それにひきかえ罵倒するのは楽だ。思考の展開は要らないし、喚きつづけていればいい。結局罵倒は欲望の表明にすぎないし、堂々巡りなのだから。
 マスコミの取材と同じだ。客観的に事実を拾うことをしないで、糾弾するか、追従するか、目的にあわせて既知のものを並べるだけ、何も考えなくていい。ただの条件反射。
 かといって執拗に考えつづけていると、思考することに疑いを抱けなくなるので、それも始末が悪い。


 

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楽天フリマ終了

 ところで、楽天フリマ(EasySeekの頃は結構使っていた……)が楽天糞オークションに変わって、これまでの古本が全然検索できなくなっちまったぞ。ふざけやがって。どうーしてくれるんだ。あの本や、あの本や、あの本はどこへ行った? あーあ。買える物だけでも買っとけばよかったよ。なんでこんな改革をするかね。サービス精神皆無、自分の都合しか考えない。小泉じゃあるまいし。ヤフオクに対抗しようとしたんだろーが、絶対無理。同じ欲ボケでも孫と三木谷じゃ月と鼈、禿と毛虫だ。バカだなー。TBS買収騒ぎと同じで自分で自分の首を絞めていやがる。楽天のやることは相変わらずしょーもない。三木谷はほんとにバカなインポでぶだ。救いようがない。ナベツネの尻を舐めてるのがお似合いだ。

 

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2006年12月03日

ゲーム脳

 本を読んだってそれなりにバカになるのだから、ゲームをしてバカになるのは当然だ。何かをやったことで人が変質するのは避けられない。それをバカになったと取るか、上達した、リコウになったと判断するかは、価値判断の違いだろう。
 テレビの見すぎで感情が盛り上がるとBGMが聴こえてくるドラマ脳とか、他人のお金が自分のものに思えてくる役所脳とか、いくらでも考えられそうだ。
 自分の言っていることが正しいと信じ込む教授脳とか、流れるような展開を自らを断ち切るCM脳とか、名付けてしまえばどんなものでも。

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